【さよならイムズ】②遅れてきた青春・整体師に夢中の日々

さよならイムズ

【さよならイムズ】

福岡・天神のど真ん中に

そびえ立つイムズビル。

2021年8月31日で閉館し、

32年の歴史に幕を閉じます。

イムズでの思い出を語る

シリーズ!

下半身が太いことがコンプレックスで整体に通う

2010年~2011年までの

1年間くらい整体に通っていた。

ネット検索して良さそうな

整体院を見つけた。

あえてここでは店名は言わない。

全国展開しているお店だった。

ちょうど通いやすそうな場所、

天神の真ん中、

イムズビルに入っていた。

整体に行こうとした理由は

腿が張って広がっていることが

コンプレックスで

なんとかしたかったからだ。

痩せてどうこうなるとかいう

レベルじゃない。

もはや骨格から矯正するしかないと

思ったのだ。

あと骨格を矯正したら

持病の頭痛も治るんじゃないかと

期待していた。

店はイムズのリラクゼーション

っぽいテーマのフロアの

一角にあった。

この階に来ると

他のお店のアロマの香りが

ほんのり漂い

なんともふわふわした気分に

なったものだ。

整体のお店は

20代の若い整体師さん

ばっかりだった。

施術内容は

体をもみほぐしてリラックスさせたり

首をグキッと回す、

ちょっと怖いやつもあった。

しばらく通うことになった。

ほぼ毎週通っていると

だんだん整体師さんたちと

仲良くなってくる。

アニメや漫画の話をしたりした。

その当時の職場は

ブラックな労働環境だった。

社員間の雰囲気は最悪で

ほぼ1日中誰とも話さない

こともある。

ましてや趣味の話なんか

誰ともしない。

好きなことが話せる整体院での

ひとときが癒やしだった。

私の担当の整体師さんが

お気に入りだった。

ひそかに想いを寄せていた。

月に数万する回数券を買って

差し入れのためのお菓子を買って

毎回何かサプライズ的な

雑貨を買って

ウキウキして持って行っていた。

お店のブログに毎回更新されるたび

かなり熱心に長文コメントを

書き込みしていた。

(お店のブログはアメブロだった。

ブログスキンが原始時代のやつ。

お気に入りの人とは別の

整体師さんがピグ化していて

「似てる!」と思ったのだった。

思えばそれがピグを知った最初の時だった)

多分ホストクラブなんかに

入れ込む人って

こういう感じなのかもしれない。

仲良くなりたくて

気を引きたくて

なぜか必死だった。

開店前に外の玄関で待ち、

エスカレーターで

店へ向かう。

店があるフロアに着くと

アロマの香りがする。

「いまから先生に会える」という

ワクワク感の香りだった。

金の切れ目が縁の切れ目

いくら整体で癒やしを得ても

根本的なブラック職場環境が

改善しなければ

心と体が病んでいくだけだった。

ブラック会社は退職した。

収入が途絶えるので

整体に通うことは

経済的に不可能となった。

ひとまず整体はお休みした。

そうするうち自分の中では

完全終了になってしまった。

店に行かなくなってから

先生から一度だけ

キャンペーンやってますの

DMが届いた。

しかしもう行くことはなかった。

収入がないのに高額な整体代は

払えない。

ストレスと体調不良の元になった

会社に行かなくなった。

もう心身の癒やしを買うことは

必要なくなったのだ。

そういえば当初の目的の

体型と頭痛を治すのは

どうなったのか?

体型は整体レベルで

矯正はとうてい無理。

頭痛は若干頻度が減ったくらい。

しかし整体に通ううちにそんなことは

どうでもよくなっていた。

激務の中

とにかく人との癒やしが

欲しかったのだった。

店はあった。変わっていない。変わったのは自分のほうか

それからは整体院があるフロアには

全く行かなくなった。

整体には行かなくなり

リアル店舗で服を買うことがなくなり

ネット通販での買い物が多くなった。

さらに服はユニクロばっかりで

買うようになったので

イムズ自体に行かなくなったのだ。

この機会に約10年ぶりに

かつて通ったあの整体院に行ってみた。

エスカレーターで

あのフロアへ向かう。

やっぱりあのアロマの香りが

していた。

店はまだあった。

当たり前だが

お気に入りだった先生はいない。

吹き抜けの反対側の通路から

「先生はいるかな?」

と店を覗いていたものだった。

整体帰りにうきうきした気分で

イムズをうろついて

「今度これを先生に見せよう」と

何か雑貨を買ったり

「次はこの服を着ていこうかな」と

ワクワクして服を買ったりしていた。

遅れてきた青春を

味わったのだった。

さようならイムズ。さようなら色々勘違いしていたあの頃の自分

・癒やしを得たくて通っていた

・恋に恋したような気分だった

・その後はリアルからネットの世界に

のめりこんだのだった

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